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診療日誌 2003年11月

 30日 11月最後の日
朝からの激しい雨で走る気など毛頭おきない。久しぶりの「休み」なのにもったいないと言えばもったいない。11月25日締め切りの原稿を書く。あっけないほど簡単にできてしまう。どうもゆっくり時間をかけて何かを仕上げるというのは性に合わないようだ。ぎりぎりまで放っておいて土壇場でやっつけ仕事をして切り抜ける。自分のことがよくわかってるなあ。まだ、年内締め切りで残った原稿がいくつもある。年内はスッキリしない気持ちで過ごすことになる訳だ。
明日から12月。またひとつ年を取ってしまう。そう言えば「忘年会」の第一弾がさっそく明日だ。
 29日 デリバリーのカレー
今日は午後いっぱいインフルエンザワクチンの接種。午前の診療が接種の直前までかかるため、例によってスタッフ全員でデリバリのランチである。今回は「チキンカレー&ナンセット」。あまり期待していなかったのだが、カレーの方はそこそこいける。ナンは小さくてふにゃふにゃなのだが、出前でそれを言っちゃあいけないか。カミさんのハンバーグライスのライスを分けてもらってちょうどだった。もっとも、これで1080円はちと高い。いくら出前料込みとはいえ、中村屋のインドカリーでも1200円。それからすれば800円くらいが適正価格と思われる。

 28日 麻疹ワクチンは効かない?
今朝の朝日新聞のトップがこの記事
千葉市では麻疹患者の全数把握が行われているが、患者の約4割が麻疹ワクチンの接種を受けていたという。世田谷区での小流行でも接種済みの中学生、高校生の患者が多かった。これでは麻疹ワクチンは効かないのかという印象をあたえる。患者の中で接種済みの人が4割と言っても、集団としては9割近くが接種済みなのだから未接種で罹った人の割合と接種して罹った割合は圧倒的に接種済みに方が少ないのである。それより問題は記事の中にも触れられていたように、自然の麻疹が減ってくると、一度のワクチンだけでは免疫が長期間維持できないということだ。欧米諸国、韓国、台湾などの近隣諸国はみな麻疹の接種は二回。いわゆる「先進国」の中で麻疹接種が1回なのは日本くらいだ。それで日本では麻疹患者が年間10万から20万人。アメリカでは年間100人以下だ。この状況を打破するのにはまず1回接種の接種率を上げることだと予防接種行政に責任ある立場の人たちは主張する。2回接種はその次だというのである。2回接種にできない理由が理解できない。経済の面でも医療資源の面でも他の多くの国と同じかそれ以上の条件を持っているというのに。
 27日 レトルトカレー
最近のレトルトカレー
中村屋「インドカリー・スパイシーチキン」「同スパイシービーフ」これはコンビニでもスーパーでもどこでも置くようになっている。ビーフの方がよく目にとまるがチキンの方が好み。中村屋で直販している「民族レストラン」シリーズとは中身も値段も違う。やはり手にはいるなら直販の方がよい。
ハウス「インドカリー・チキン」(カレーホット付き)意外と言っては失礼だが、いける。酸味が適度にきいた辛さ。カレーホットを全部かけるのがコツ。
「シェフが100時間煮込んだカレー」100時間にこんだらどうなんだと突っ込んでも仕方ないが、欧風カレーとしては口にあうほうか。
「鳥肌が立つチキンカレー」「鳥肌が立つキーマカレー」カレー・ラーメンの評論でその道では一家をなしたライター小野員裕氏が精魂込めて作ったとされる。チキンで鳥肌はわかるがキーマはどうなんだ。チキンはさらさらソースに小振りのチキンがふたかけだけで全体として物足りない。キーマの方が食べた気がする。
 26日 インフルエンザワクチンが不足?
西日本の方でインフルエンザワクチンが品不足で手に入らない状況になっているという。予約してある分も入らないそうだ。SARSの流行を見越してインフルエンザのリスクを少しでも避けるためにワクチン接種を政策的に勧めているためだと言われているが、生産量はそれでも十分なはずだ。不足するのはどこかで過剰に在庫しているということである。昨日問屋さんが来たので試しにワクチンの追加発注ができるか聞いてみた。追加は難しいそうだ。今注文を受けている分については大丈夫だがそれ以上は難しいというのだ。さすがに予約分も来ないということではないようだ。うちは昨年の最終的な使用本数と同数の予約を入れた。昨年以上の接種はしないと決めたからだ。そのため10月中に予約は完売になってしまったが、追加の予約を取っていたら今頃は大騒ぎで予約取り消しの連絡をしているところだ。昨年はタミフルと診断キット、今年はワクチン。毎年何かが不足する。何年か前もワクチン不足の騒動があった。あの時はテレビ朝日のニュースステーションの取材が入った。インタビューで「ワクチンが足りていても接種する側の時間や人手に限界がある。問題はワクチンの供給だけじゃない」という話をしたのだが本番の放送ではカットされてしまったことを思い出した。
 25日 インフルエンザ今季第一号
インフルエンザ今季第一号の患者さんが出た。5歳の女の子。昨夜から高熱、腹痛、咳、鼻づまり。風邪にしてはえらくつらそうなので採血してみた。白血球数正常、炎症を示すCRPというタンパク質陰性。もしやと思ってインフルエンザの迅速検査をしてみたらA型インフルエンザ陽性である。このあいだワクチンの1回目を打ったばかり、ちょっと遅かったか。
昨年の第一号は12月の半ばだったから今年はかなり早い。だからといって大流行になるとは限らないが、これからは要注意。
 24日 喫茶「道」
松本、奈良と巡って戻ってきた。同級会の宴会の後も深夜まで話は尽きなかった。翌朝、ゴルフ組は早々に出かけていった。ゴルフをしない組はホテルで流れ解散。そのまま市街地に出る。街は大きく変わっている。入り浸っていたパチンコ屋はなくなっていた。通い詰めた映画館はそのまま。
駅前の喫茶店で2年間ウェイターのアルバイトをしていた。もう30年前の話だ。店はまだそのままの姿で残っていた。駅前の山小屋風喫茶である。当時時給は240円。いいほうだった。通りを挟んで同じ経営者がパチンコ屋を出していた。喫茶店で給料をもらってそのままパチンコ屋ですいあげられていた。なんであんなにパチンコなどしていたのだろう。麻雀もぱったりしなくなった。不思議なものだ。
 23日 温泉で同級会
大学の同級会が松本郊外の美ヶ原温泉であった。土曜の夕方からということだったが、連休前の混雑で3時新宿がぎりぎり。出発時間が決まっているときに限って混むし、混んでいるときに限って困った事態が起きる。
初診の女子高校生が母親と一緒に来た。修学旅行が生理と重なりそうなので生理を遅らせる薬を出してほしいと。うちは小児科なのでそういう薬を処方することはありません。婦人科に行かれたらどうですかとお帰りいただこうとしたら、どうもご不満らしい。引っ越し前にかかっていた内科小児科のクリニックでは出してもらえたと言うのである。そりゃ、その先生はそういうのも守備範囲だったかもしれませんけどうちは違うんですよというと、その先生もわからないからと国立○○病院に電話して処方を聞いて出してくれたというのである。どうもこちらが不親切みたいな言われ方だが、処方箋を書くという医療行為をそう簡単に考えられても困るのである。
たとえ話で言うなら、手打ちそば専門にやってるつもりが、客の注文はチャーシュー麺。前の行きつけのそば屋はそばもラーメンもあった、メニューにないものは取り寄せてくれたぞと言われても、うちはそういうそば屋じゃないのですとしか言いようがない。

 21日 保健所の「アレルギー検査」
インフルエンザワクチンには卵成分が微量に含まれるので、卵に強いアレルギー反応を示す人は接種を避けるべきである。というのは、「へぇ〜」でもなんでもなく、一応常識だろう。ところが先日この件で困ったことがあった。
当院初診、卵アレルギーがあるのだがインフルエンザワクチンを接種したいという1歳の男の子。親がアレルギー体質なので子どももアレルギーだったらいけないと、保健所で行っているアレルギーの血液検査を受けた(川崎市では保健所でアレルギーの血液検査を無料で行っているのである)。そうしたら「卵白」のスコア(IgE RASTだろう)が2、IgEが200で、卵アレルギーと言うことになった。ただ、卵はたまたま食べても何も起きなかったので普通に食べている。かかりつけ医に相談したところ、卵アレルギーだからインフルエンザワクチンは接種できないと言われた。こちらで接種できないだろうか。・・・・という相談だった。
アレルギーの症状もないのに何で検査なんかするの!卵を食べて何ともなかったら検査なんかする必要はないじゃない。検査で陽性に出ても実際の症状がなければアレルギーとは言わない。かかりつけ医もそれがわかっていれば接種してあげてもいいのになと思う反面、うちの子は「卵アレルギー」と信じている子にワクチン接種して、アレルギーとは関係なくある一定の確率で起きる事故がたまたま起きたら接種医の立場は悪くなるだろうなとも思う。
初診じゃなくてうちでかかりつけだったらたぶん接種しただろうとは思う。
それにしても、何で保健所で「アレルギーの血液検査」をやらなきゃいけないのだ。アレルギーの症状があればしかるべき医療機関で血液検査だけじゃなく、食事日誌をつけるなり、投与試験をするなりできちんと診断すべきである。症状もない人に検査するというのは余計な不安を煽るだけ。乳児湿疹があると言うだけで検査を勧められることもあるようだ。検査後の指導がきちんとなされていればまだしもだが、検査はやりっぱなし。百害あって一利なしとはこのことだ。おまけに税金の無駄遣い。
 20日 ボジョレ・ヌーボー
お決まりのボジョレヌーボー解禁日。バブルの頃のような馬鹿騒ぎはないが相変わらず売れ行きは好調のようだ。特に今年は当たり年だそうな。帰りに近くの酒屋さんによって一本仕入れる。例年買うのは2000円以下の並。酒屋さんによれば今時ボジョレはどこでも扱っているし、値段で競争しても小さな酒屋では勝てっこない。値段ではなくて品で勝負することにしたというのだ。と言うことで「並」はおいてなかった。それでも高い方から売れていったそうで、上から2種類はすでに完売だった。結局買ったのは2800円也。さっそく帰って試してみた。ボジョレヌーボー特有のジュースのようなさっぱり感よりもう少し濃い味がする。まあ、ワインの味はあんまりわからないので御託を並べてもしようがないが、年に一回の行事としてはこれもいいのかも。
 19日 宅配ランチ
インフルエンザワクチンの接種を休診時間の水曜土曜の午後に行うときはスタッフみんなの昼ご飯をまとめて確保することにしている。このあいだまでは「パラダイスキッチン」のお弁当だったのだが、最近新しく宅配専門店ができてメニューを入れていった。割引券とか前日注文割引とかいろいろ勧誘作戦があってまんまと乗ってしまっている。注文を受けてから作るというのがポリシーのようで、できたてを保温容器で持ってくる。メニューは中華・焼き肉・とんかつ・カレーの四つのジャンルから成り立っている。いったいどんなところで作っているのだろうか。
うちでは今のところ中華に人気が集まっている。なんと言ってもボリュームがあるのと、麺類などは麺とつゆを別に持ってきて現場でぶっかけるようになっていてのびないというのもいいようだ。
焼き肉はメニューの写真からイメージするよりずっと量が少ない。「USカルビ焼き肉重」などいかにも焼き肉どっさりという写真が載っているのだが、来てみたら、えっ、これだけ?と泣きたくなるほどだ。
さて、問題はカレーである。実はまだ一度も注文していない。メニューの中心は「ポテトカレー」。他にはハンバーグや牛カツカレーなどのトッピングカレーで、このあたりは何となく想像がつく。「チキンカレーナンセット」というのは試してみてもいいかと思うが、写真で見るナンがイマイチ。以前勤めていた病院では近くのインド料理店「ビンディ」からナンとカレーのセットを配達してもらっていたが、あれと比べたらかわいそうか。
 18日 結構売れます
監修した「症状でわかる赤ちゃん子どもの病気」を受付に置いておいたところ結構買いたいという人がいる。「書店にてお求め下さい」ということにしていたが、試しに著者贈呈分をならべてみたらあっという間に売れてしまった。急いで出版社に追加を発注した。今日など、何を勘違いしたか、見開きにサインしてくれという方が現れた。しかたなく「○○賛江 片岡 正」とだけ書いたが、こういうのは何かもう一言書くのがいいのかなと反省。
「千客万来」いかんなラーメン屋の色紙みたいだ。「無病息災」みんながそんなことになったらうちは倒産。じゃ「一病息災」、なんかずっとうちに来いって言ってるみたい。「諸行無常」もう医者なんか辞めろってか。「他力本願」あ、これは私の座右の銘。「委細面談」「容姿端麗」「質実剛健」「艱難辛苦」「緑黄野菜」「焼肉定食」、、なんで四文字熟語をならべないといかんのか。
 17日 溶連菌感染症急増
先週から溶連菌感染症が増えている。数の上では感染性胃腸炎が多いのだが、かなり目立つ増加ぶりである。数が増えるに連れて非典型的なケースが増える。発疹、いちご舌、特有ののどの所見、こういうものがなくても、熱だけ、のどの痛みだけ、というようなケースで溶連菌が検出される。こういうのは疑って検査してみないとわからない。
例年溶連菌の流行には二つのピークがある。5月から6月にかけてのピークが大きくて、8月9月には底になる。10月から少しずつ増え始めて、11月から12月にかけて二度目のピークになる。これは感染症動向調査のグラフを何年分か重ねて見るとほとんど毎年同じパターンなのがわかる。感染性胃腸炎も11月から急上昇カーブを描いて12月にピークになる。インフルエンザはまだだが「普通の風邪」は急増する。要するに小児科が忙しくなるということ。
柿の実が赤くなる頃には医者の顔が青くなる、というのは少なくとも小児科には当てはまらない。
 16日 東京国際女子マラソン
朝から近くの公園に走りに出た。例年なら「川崎市民マラソン」(改め「多摩川ハーフマラソン」だったかな)に出ているはずなのだが、今年は諸般の事情で欠場。替わりと言っては何だが、朝ジョグのあと高橋尚子の走る東京国際女子マラソンをテレビで応援する。今年は記念大会とかで市民マラソンも一緒に開催される。市民マラソンと言ったって私から見れば十分エリートマラソンなのだが、それでも知り合いで出場する人が3人いる。
高橋尚子は30k付近で信じられないようなブレーキ、ああいう人でも「売り切れ」状態になることがあるのだとかえって感心してしまった。市民マラソンの方はBSで中継していたが、知り合いの姿はついに見つけられず。ゴールの関門が3時間30分なのでみな時間内完走はできたはずだと思うのだが、もうちょっとしっかりオジサンの部の中継をしてくれてもよかったと思う。

クリニックの天井が2階からの水漏れで波打って染みになってしまっていた。水漏れは止まっているのだが、今日は天井のボードとクロスを取り替える工事をすることになっていた。夕方には終わると言うことで片付けに行ったら、電気の所をいじっていた業者がショートさせてしまって、ブレーカーが落ちた。予約システムのコンピュータの電源が落ちたのでイヤな予感がした。電源が戻って勝手に再起動したが、エラーメッセージがいっぱい出る。電話予約は働いているようだが、Web予約との連動ソフトが動かない。再々起動してみたが正常に終了しない。どうやらデータベースに問題が起きたようだ。無停電電源というのは絶対に必要なものなのだと痛感。今夜はWeb予約はストップのままで行くしかない。
 15日 インフルエンザワクチン道半ば
土曜の午後、暗くなるまでインフルエンザワクチンの接種。今日あたりになると1回目より2回目の子の方が多くなった。中間点をやっと過ぎたところだろう。ほぼ予約時間通りに進行、お茶タイムも取れた。
もう11月も中間点である。今年もあと1ヶ月半。年末年始休みの予定も決めなくてはいけない。年内最終診療日はこの数年について見てみると、29(水)、29(金)、29(土)、28(土)となっている。例年通りとして、29日(月)の午前中まで診療するということにした。新年の開始は1月5日(月)、こちらもほぼ例年通り。
12月28日(日)が小児急病センターの日勤。昨年は年末年始に当たらなかったし、今年もこの日ならまずはラッキーと言うべきか。もっとも小児急病センターに出動しない人も結構いるのでそんなことで喜んでいるのはおめでたいのかも知れない。
クリニックの忘年会の日程もまだ決めていなかった。さっそく候補の日程を決めて調整に入る。今年はちょっとゴージャスな中華料理にしたいというのが院長の心づもり。
 14日 中耳炎・ある耳鼻科のサイト
北部小児急病センターの当番日である。クリニックから急病センターまで車で20分はかかる。午後の診療が終わった後大急ぎで出かけるのだが、いつもぎりぎり。今日は午後の診療が押したのでクリニックを出たのが7時10分前、間に合わないので遅刻の電話を入れる。15分ほどの遅刻で到着したが待っていたのは一人だけ、拍子抜けである。
その後も患者さんはぱらぱら。耳が痛いという女の子。今朝はあるクリニックにかかって「肺炎になりかけ」だと言われたそうだ。血液検査をして、レントゲン写真撮って、抗生剤はジスロマックとメイアクトの二本立て!耳をのぞいたら立派な中耳炎。耳は見てもらわなかったみたい。
こういうことはよくあるので、あまり人のことは言わない。
で、中耳炎である。このところ、中耳炎が長引いて、という相談をよく受ける。どこかで、中耳炎の説明でわかりやすいホームページはないかと、以前メーリングリストで紹介してもらってブックマークしてあった「寺本耳鼻咽喉科医院」(兵庫県氷上郡)のページを開いてみた。読んでみて、これはすごいと思った。ありそうな質問のほとんどに答えがある。しかもみななるほどと納得してしまう答えだ。なんと言っても答える寺本先生のキャラがいい。ある時は耳鼻科開業医、ある時は医学論文と格闘する医師、ある時は中耳炎患者の母、ある時はドケチな関西のおばはん、、、結局サイト内のほとんどを読んでしまった。お勧めサイトだ。
 13日 赤ちゃん・子どもの病気
9月10月と監修作業で頭を悩ませていた家庭医学書が「症状でわかる赤ちゃん・子どもの病気」というタイトルで発売されることになった。昨日刷り上がりが届いたのだが、早速ミス発見。予防接種のスケジュール表で風疹と麻疹の矢印が反対だ。結構ちゃんと見たつもりなんだけど、表は見落としやすいのかな、と反省。本文を読めば間違うことはないので実害はないと思うが残念。
「ある症状」からスタートして「イエス」「ノー」で進み「ある病気」に行き当たるというチャート式診断法なのだが、当然ながらこれが医者のかわりになるわけではない。医家向けの診断フローチャートなどもあるが、これも素直にそのまま行けば正しい診断に突き当たるわけでもない。結局、こういうチャートは横に掲載してある「病気の説明」を効率よく読むための仕組みと考えて使うのがいいと思う。
 12日 上海ガニ
年に一回、上海ガニの季節にビンテージ老酒と蟹を食する会をやる。この蟹を蒸します、と生きた蟹がテーブルに並ぶ。各人お気に入りの蟹に名前を書いた荷札を結びつける。蒸し上がったら、その蟹を各人にサーブするという仕組み。この選択が難しい。今年はオス蟹ばかりなので、大きさが同じならどれを選んでも大差ない。例によって、蟹が出てくるととたんにみな無口になる。ひたすら、蟹の身をほじることに専念する。今年は上海ガニの養殖場で抗生剤を使っていたことがばれて問題になった。抗生剤入りかどうか、当たり前のことだが、食べただけじゃわからない。
上海事変の年、多くの中国人が殺されて運河に投げ込まれたそうだ。そして、その年の上海ガニは、身が入ってことさらうまかったのだという話が「上海バンスキング」という芝居の中で披露されていたような記憶がある。
 11日 学生の見学実習
今日で今年度の学生見学実習は終了。毎週二人ずつ、遠いところでは松戸から遠路はるばる来た学生もいる。欠席者は今日風邪をひいたと連絡してきた一人だけ。みなまじめである。卒業間近の4年生だけあって、これからの進路もほぼ決めているようだ。来年からスーパーローテートがはじまるので、今の4年生はその最初の研修医となる。従来のような診療科への直接の入局はできなくなる。彼らにとっては進路の最終決断に2年間の猶予ができたと言うことだ。毎回学生に将来の希望を聞いてみるのだが、ほとんどが内科系志望である。外科志望は少ない。今日来た学生が心臓血管外科をやりたいと言っていたのは例外。外科系はどちらかと言えば「ガテン系」と認識されているようで敬遠される。小児科も3Kなどと言われて志望者が減る傾向にあったが最近は全国的に復活傾向にあるようだ。やはり学生は将来のことを彼らなりによく見ている。小児医療の危機を脱するためにも小児科志望の学生を増やす。そのためにも、小児科は面白そうという所を見せなくては、などと思うこともあったが、この程度の実習ではそれは無理。
これからしばらくは火曜日の昼ご飯の心配をしなくてすむ。
 10日 アデノウイルス
夏場に流行るとされるアデノウイルス感染症だが、寒くなってきてもなくならない。プール熱などという名前がついているので夏場に幼児・学童がかかると思われ勝ちだが、今は1−2歳以下に目立つ。目が赤くなって目やにがでる「咽頭結膜熱」タイプ、結膜炎だけの「はやり目」タイプ、扁桃腺が腫れて白い苔がつく「咽頭炎」タイプなど、いろいろある。
先日の例。一歳の女の子、突然の高熱で夜間診療所を受診。「扁桃腺炎」ということで抗生剤と解熱剤を出された。翌朝、うちのクリニックに。一目見て「アデノ!」という扁桃腺である。扁桃腺を綿棒で擦ってウイルスの迅速検査をするとはっきりとした「陽性」。まあ、これで診断はつくのだが、問題はこれからである。このアデノウイルス咽頭炎による熱は4−5日続く。見た目は細菌による扁桃腺炎に見えるので抗生剤が効きそうに見えるが、実は全く効かない。結局4−5日続く高熱は「耐える」しかない。しかし、訳がわからず心配するよりは原因はわかっていた方がいいので診断は大切だ。ただ、このことを患者さんにどう伝えるかが難しい。熱が高いのは仕方ない、解熱剤を上手に使って何とか楽にやり過ごせるようにする。しかし、解熱剤でもすっと熱が下がらないこともある。こうなると親は心配だ。どうにもならないのか、こんなに高熱が続いて大丈夫か、食欲がない、元気がない、、。先日のケースではこういう心配の電話が夕方の診察中にかかってきた。ゆっくり話していられる時間もないし、かといって絶対大丈夫と言って電話を切る訳にもいかない。熱の対処の話をひととおりしたが、その後来院しなかったところをみると別の病院に行ったのだろう。
こちらの気持ちとしては診断がついてそれで半分以上「解決」なのだが、親にとっては何も「解決」していないのだ。

うーむ、まだまだだな。
 9日 選挙その2
午後8時の投票締め切り前に投票所に行った。雨で、もうすぐ終了というというのに人は少ない。バレーボールが終わった後は、選挙速報番組をチャンネル切り替えながらぐるぐるまわって見ている。開票速報で関係者は一喜一憂なのだろうが、すでに終わっている投票の結果はもう決まっている。それが明らかになるだけの話なのに、「追い上げている」だの「逃げ切る勢い」だとか、おかしな話だ。投票から帰ってきたらもう「○○党何議席」なんて速報も出ている。出口調査というのも当てにならない。放送局によってえらく違う。当落の結果を数時間早く予測したからといって政局が変わるわけでもあるまいし、エネルギーの使う場所が違うのではないかと思う。
今度の選挙で気づいたのは私の周辺では「医師会」の動きがほとんどなかったこと。静かでよかった。
 8日 選挙
奈良に帰っている。
こちらも明日は総選挙だ。おまけに県知事選も一緒にある。母は投票に行くという。結構なことだ。もっとも、広報をながめても頭に入らないようで、誰に入れるか決めかねているようだ。というより、候補者の誰がどういう人なのか関心がない。どこかの政党関係から強く誘われているふうでもない。白紙でもいいから投票所に行くのが国民の義務と思いこんでいるようだ。
前回の県知事選は高校の同級生のU君が出馬して、地元にいる同窓会の有志がおおいに盛り上がったようだ。現職の壁は厚くU君は落選。その後大和郡山市長になったので今回は出馬しないということだろう。
 7日 Panther
Jaguarの次はPantherである。Mac OSの話。
2日前、届いていたMacOS 10.3を診察室のデスクトップにインストールしてみた。やけに時間がかかって、スペイン語だの韓国語だの各国言語のファイルをインストールしていた。2時間近くかかったようだが、画面はほとんど見ていなかった。上書きインストールなので設定はそのまま残る。アプリケーションもみな動くようだという噂を聞いていたのであまり神経質になっていなかった。まあ、それで普段の使い方では問題はなかった。今日の夕方までは、、、。
入院してもらう患者さんがいたので紹介状をいつものようにパソコンで書いた。プリントして持っていてもらおうとしたら、プリントのところでソフトが異常終了してしまう。なんだ、なんだ、と思ってあれこれ触っていて思い出した。そうだ、OSをアップデートしたんだ、、、、。これは応急処置をしてプリントができるようにするよりは手書きで紹介状を書き直した方が早いと判断して、ささっと書いた。確かに、手書きの方が早い。今まで何をしてきたのかという思いが頭をよぎる。とにかく、患者さんは無事病院に向かった。
診察終了後に印刷関係をチェックしてみた。ネットワーク上のプリンタではキャノンのは認識して印刷できるようだ。エプソンの方はドライバをダウンロードしなおして、再インストール。ネットワーク接続先を「AppleTalk」ではなく「Epson AppleTalk」というのにしなくてはいけないようだった。その後、いろいろチェックしてみて問題はなし。こういうことは、本番前にやっておくことなのです(-.-)
 6日 今年のインフルエンザ
「今年はインフルエンザワクチンをうっておいた方がいいですか」という質問をしばしばうける。そりゃ、うっておくに越したことはないのだが、この質問、二重の意味合いを持っていてビミョーである。
「今年」に力点がかかっている場合。今年の流行予想株は昨年と同じである。だから昨年接種していれば抗体はある程度あるはず。また昨年かかったとしたら、同じウイルスにもう一度という可能性は少ない。だが、ワクチンによる抗体は五ヶ月くらいで感染防御レベル以下に低下すると言われている。だから昨シーズンのワクチンが今年も効いているという保証はない。今年もう一度ワクチンを接種すれば抗体の上がりはいいだろうが、じゃ1回でも大丈夫かと言うことになると、大丈夫といえるデータはない。やはり受けるなら2回だろう。
インフルエンザと一口に言っても例年はやるウイルス株には大きくわけて三種類ある。A香港、Aソ連、B型である。これらの株の中にさらに細かい変異株があって、例えば今年は「A香港」の場合「ニューカレドニア/20/99」という株が予想されている。昨シーズン中にどれかひとつ(二つの人もいた)に罹ったとしても、罹っていない残りの株には罹る可能性はある。流行予測株が去年と同じと言っても安心できないわけだ。
インフルエンザワクチンはそもそも受けておいたほうがいいのかというニュアンスの質問には、なかなかクリアな答えがない。
特にゼロ歳の赤ちゃんは受けた方がいいのかと聞かれるとすこし困る。ゼロ歳児のインフルエンザワクチンによる抗体の上昇を調べた研究がいくつかあるのだが、ちゃんと上がるという報告もある一方、上がりが悪いという報告もある。確実に有効という根拠がないのだ。そもそもインフルエンザワクチンは麻疹ワクチンなどと違って、接種すればほぼ確実に発症を予防できるという効果があるものではない。発症の確率を下げ、発症しても重症化を防ぐ効果を期待しているだけである。だから受けていても発症することはあるし、「脳症」になる可能性もある。
結局受けることのリスクと利益のバランスがプラスかマイナスかという判断である。リスクとしては副作用がある。主だった副作用は接種部位が腫れる(これは結構ある)、発熱(滅多にない)、倦怠感、、、などあるが、まず軽いものである。重い副作用とされる「ギランバレー症候群」や「脳脊髄膜炎」の頻度は自然に発生する(インフルエンザワクチンを受けない場合の)頻度と大差ない。ワクチンを接種していれば発症のリスクは下がるし、その分「脳症」の発症リスクも下がる。
ということから考えれば、受けておいたほうが得だろうという判断になる。
ところが、いかんせん、当院ではすでに予約は満杯になってしまった。やった方がいいですよと言いながら、でも、うちではできません、というのは心苦しいのだけれど、なにとぞご勘弁いただきたいと思う。

 5日 六本木ヒルズ
オープンしてだいぶ経つが、はじめて六本木ヒルズで食事をした。家内の姉が出てきたので、ご招待である。もうオープン当初の行列はなくなっている。全席カウンターのフレンチで話題を集めたラトリエ・ド・ジョエル・ロビュションに予約を入れた。当初は予約は受けず行列するしかなかったようだが、最近予約ができるようになった。とにかく広くてどこに何があるかわからない。
やっと見つけて入ってみると曲がりくねった長いカウンターが一列。カウンターの中では30名は超えているだろう人数の人たちが働いている。かなりの人口密度、ほとんどが20歳代の若ものだ。もちろんロビュション氏はいない。徹底した分業で、切る人、盛りつけるひと、パスタをゆでる人、そう言えばパスタがメニューにある。この人達のうちの何人がちゃんとしたシェフになれるのだろうか。人ごとながら心配である。メニューからアラカルトが選びにくいのでついコースになる。私はメインが鴨のコンフィ。意外にあっさりしたソース。ポーションは10年前の私ならテーブルをひっくり返してしまいそうな量だ。悲しいかな、今はそれが適量である。
最後のコーヒーもエスプレッソだけ。メニューもイタリアンぽいので、その辺をねらっているのだろう。エスプレッソをお湯で薄めた「アメリカン・エスプレッソ」というのもありますというのだが、いや、普通のでお願いします。
 4日 連休明け
連休明けの火曜日。うっかり火曜日だということを忘れていた。朝、見学実習の学生が来て思い出した。連休明けは混むので学生実習には不向きなのだが、曜日を変えるわけにはいかない。「今日は忙しいので、その辺でじゃまにならないように立ってなさい、、、というわけにもいかない。遅れ遅れになるのは覚悟で説明をする。
水ぼうそうが先週から増えている。おたふくかぜも某保育所の園内感染がまだおさまらず、実習向けの一日ではあった。
 3日 八ヶ岳にPHSの電波は来ない
インターネットの繋がらないところいた。もちろん電話線はあるのでモデム経由なら繋がるのだろうが、泊まっていた高原のホテルでは古いタイプの内線電話だけ。ブロードバンドが当たり前の感覚になりきっているのでAirH"が圏外になると56Kモデムで何とかしようという気が起きない。小児科関係の勉強会も兼ねているのでパソコンは持っていったのだが、久しぶりにメールも掲示板も見ない一夜を過ごした。別に不自由も感じなかったので、これならインターネットのない世界に行っても暮らせるかも知れない。
最近のリゾートホテルでは客室でブロードバンド環境は当たり前のようだ。3年前にハワイに行ったときにはホテルのコンシェルジェで無線LANアダプタを貸してくれるたのに驚いたが、今ではシティホテルでは標準仕様だろう。せっかく遊びに来てインターネットで仕事の続きではいかがなものかというご意見もあるだろうが、ないと困る人は五万といる。
昼はテニスという趣向なのだが、もう何年もテニスは封印してある。それでみんながテニスをしている間に一人で山道に走りに出た。6年前、この辺をかすめるコースの100kmマラソンを走ったことがある。13時間と少しかかった。どうやらあれは今の私とは別人のようだ。テニスコートに戻る3kmほどの登り坂にへとへとになり、今日は筋肉痛である。
 1日 連休
世間は今日から3連休。うちは午後にインフルエンザワクチンタイムだったから2連休。明日は早起きして清里に行くことになっている。
ここのところ毎年恒例の行事なのだが、いつも連休の渋滞にぶつかって車が大変である。いい加減懲りればいいと思うのだが、今年も車で行くつもりなのだ。昨年は東名で行った方が空いているという助言にしたがって御殿場で降りて富士五湖道路を目指した。出発が遅かったせいもあり、御殿場を降りた所からすでに渋滞で、裏道に曲がるところが工事中で入れず。結局着いたのが午後3時過ぎだった。早く出れば中央道の方が空いていると言う話なので今年はまた中央道で行ってみるかとと思っている。
知り合いであっち方面に別荘などをお持ちの方が何人か居るのだが、やはりハイシーズンの渋滞が悩みの種のようだ。帰りは一眠りしてから深夜に出発とか、早朝に出るとか。そこまでして行くか、と自問すると、それなら家で寝ていたほうがいいやということになる。

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