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かたおか小児科クリニック

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こんなとき…こんなとき…

赤ちゃんと海外旅行

2003/05/05

ほんの数年前のことですが、日本中がバブル景気で浮かれたことがありました。このころ赤ちゃんを連れていく海外旅行という企画があちこちの旅行会社で企画
されました。ハネムーンで行ったハワイやオーストラリアに生まれた赤ちゃんを連れてもう一度いこうというのです。小児科医、看護婦、ベビーシッターも同行
しますというのが売りでした。もちろん普通のパッケージツアーに比べると割高でしたがそれでも盛況でした。赤ちゃん一人に両親とじじばばつきといった参加
者もいました。

都内の病院の勤務医をしていた私にツアー同行医師の手配をしてくれという依頼が来ました。なんせただで海外旅行ができてその上お小遣い付きなの
ですからこんなおいしい話はありません。私一人ではとても間に合わないので同僚を次々に紹介して皆一時のバブルのおこぼれにあずかりました。

赤ちゃん連れの海外旅行でどういうトラブルが想定されるか、いろいろ考えて準備します。咳、下痢、発熱などの薬。ビーチで日焼けしすぎたときに
はステロイド軟膏も必要。軽い怪我ならなんのとか病院に行かずにすむようにと消毒薬や絆創膏、包帯も一式用意しました。飛行機で寝ないで騒ぐ子ども用に睡
眠薬も持っていきました。

結果的には熱を出した子や下痢をした子はいましたが、それくらいのことは医者がついていかなくても常備薬を持っている方が多いでしょう。もし熱などが長引けば結局は現地の医者にかかることになっていましたから、付き添いの医者の出番はほとんどありませんでした。

睡眠薬は結局使いませんでした。これには理由がありました。この睡眠薬は子どもがしばらくの間じっとしていなくてはならない検査の時に使うもので
す。すぐにさっと寝てくれるときはいいのですが、いったんぐずり始めると逆に興奮状態でふらふらしながら酔っぱらったようになってしまうことがあります。
つまり気安く使う薬ではないのです。そして睡眠薬が必要と思われる子どもはいませんでした。

何度かのツアーが終わって、付き添い医者の求人はぱったりこなくなりました。バブルが崩壊したのでした。ベビーシッター付きというのはもう少し後まで続いていました。医者よりベビーシッターさんの方が需要があったということでしょう。

赤ちゃん連れに限らず海外に行くときは、現地の病気の流行状況などを把握しておく。心配なら事前にかかりつけのドクターに相談する。最低限の薬は
用意しておくが、すぐによくならないときは躊躇せずに現地の医療機関を受診する。そのためには旅行保険に入っておく。というような注意をすれば医者同行で
なくても心配せずに海外旅行を楽しめるでしょう。


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