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本稿は「からだの科学」臨時増刊2002.7「小児科医が変わる」に掲載したものです) 地域の小児救急医療システムを作るかたおか小児科クリニック 1. はじめに小児救急医療体制の再編が各地で問題となっている。少子化のために小児人口が減少し、小児病床、小児科医が減っているにもかかわらず、小児救急(時間外診療)の需要はかえって増加している。重症患者のたらい回しの問題も大きな問題であるが、病院小児科の体制が整っているところでは初期救急患者が病院の救急外来を占拠して病院の機能低下とスタッフの疲弊を招いているという指摘もある。さらに近年の特徴としては親の仕事の事情で通常の診療時間内に受診できなかった患者が時間外診療を利用するケースも多く「コンビニ需要」として問題になっている。 2. 地域の特殊性地域救急医療システムを考える際に地域の特性を抜きにして一般論で考えることはむつかしい。地形、(小児)人口、医療機関数、小児科医の数と年齢構成、基幹病院となる公的病院の有無、交通機関など様々な要素が絡まり合ってくる。 3. 何が問題なのかこのような体制の中でいくつかの問題が持ち上がってきた。 4. 誰が初期救急を担うのか
夜間診療所の準夜帯は53名、一日平均7.6人であった。10病院の合計は準夜帯404名、一日平均58人、深夜帯166名、一日平均24名であった。 5. 行政が動かないと事は進まない「考える会」の討議とは別に川崎市の方でも小児救急医療体制の不備が問題視され新規事業としての「救急」が検討されていた。 6. 初期救急体制に関する私案こうした状況以前に「考える会」では救急再編についての各自の意見を求め、筆者も提案書を提出した。骨子は以下の通りである。 7. 独立型か病院併設型か当初、基幹病院に初期救急施設を併設する筆者の提案は受け入れられるかに思われた。しかし、そのうち反対論が続出した。 8. 次々と「計画案」が医療審議会に設置された救急に関する「特別部会」からは次々と小児救急センターの計画案がとびだしてきた。 9. 最終的な結論2001年12月に「特別部会」の答申書は選挙で勝ったばかりの新市長に手渡された。それに沿って2002年1月には市の新しい小児救急体制の内容が発表された。 9. 最後に小児救急体制の再編の議論のなかで何よりも感じたのは病院小児科からの「開業医も応分の負担を」という圧力である。開業小児科医が救急医療体制にしめる割合は確かに少ない。夜間診療に参加しない開業医もおおい。このことについては現状をよく説明して理解を深める努力をするべきであり、また参加しやすい条件を探るべきである。しかし、「初期救急は開業医で」ということになるといささか異論がある。初期救急は小児医療にとってもっとも基本的なところである。いかに忙しいと言ってもこの点をさけて小児医療を行うことはできない。学生や研修医の教育に必須のことでもある。 プロフィール / 診療日誌 / 小児救急医療システムについて /戻る |
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