こんなとき…

こんなとき…

風邪には先手必勝か?

「風邪は万病のもと」といいます。風邪をこじらせるといろいろ大変な病気になるのだと理解されています。風邪を放っておいたら肺炎になってしまった、とい う話はよく聞きます。だから風邪はちょっとした症状のうちにきちんとなおしておかないといけないというのもほぼ世間一般の常識のようです。また早く治療す れば早く治ると信じられています。市販薬のコマーシャル「風邪には早めのパブロン」とか「くしゃみ三回ルル三錠」というのはそのあたりのことをよく表して います。
本当にそうでしょうか。風邪はのどや鼻に感染するいろいろなウイルス感染症の俗称です。インフルエンザや水ぼうそうなどのウイルスに対してはウ イルスを押さえる薬が開発されて使われていますが、いわゆる「風邪」のウイルスに対する薬はありません。「風邪薬」といわれているものには咳や鼻水といっ た症状を抑える薬や解熱剤が含まれています。抗生剤は細菌を抑える薬で、風邪が引き金になって細菌感染を引き起こすのを防ぐために予防的に使われることが ありますが「風邪薬」ではありません。風邪は薬で治るのではなく、本人の治癒力で免疫ができて治るのです。薬にできるのは風邪に伴う症状を緩和することだ けです。
鼻水がでた、時々咳をする、こういうときはあわてる必要はありません。元気が良い、夜は眠れる、食欲がある、といった状態なら少し様子を見てもいいでしょう。症状が辛いようなら薬を使えばいいのです。
しかし「風邪は万病のもと」という言葉には「重大な病気も最初は風邪と区別がつかない」という意味もあります。熱がある、咳や鼻がひどいというと きはそれが本当に「風邪」なのかどうか、きちんと判断をする必要があります。薬が必要でないことは多いですが、放っておいてもよい「風邪」かどうかを見極 める眼は必要です。

<< こんなときTOPへ戻る : 03年05月05日更新

footer