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溶連菌感染症について

2017/07/25

溶連菌とは「溶血性連鎖球菌」の略です。のどにつくことが多く、そのほか皮膚や性器などにも感染を起こします。とびひの原因菌となることもあります。発赤 毒と言われる毒素をだして皮膚が発赤し「猩紅熱」と言われることがあります。かつて「猩紅熱」はコレラやペストなどと同類の「法定伝染病」に指定されてい ましたが、1999年施行の感染症新法により新たに5類感染症(危険度を1から5までランクづける)となりました。

のどが痛くなり、熱が出て、そのうちに皮膚に発赤ができてかゆくなります。

目が赤く充血して、舌の苔がとれて赤くボツボツした状態になるイチゴ舌になります。発疹のあとや指先の皮がぼろぼろになってめくれてきます。

迅速診断キットでのどの粘液を調べると10分くらいで診断がつきます。
溶連菌感染と診断がついたら10日から2週間の間ペニシリン系の抗生物質を内服 します。
これは溶連菌が再発しやすく、関節炎や心臓弁膜症などを合併するリウマチ熱の発症を予防するためです。
リウマチ熱の発症は激減していて、ここ20-30年はほとんど見かけなくなりました。
溶連菌感染後の急性糸球体腎炎は抗菌薬による治療の有無とは無関係に発症します。

抗菌薬を内服して24時間経過すれば、解熱して咽頭炎の症状はよくなり、他人への感染力はなくなるとされています。この間は登校・登園停止です。(川崎市では川崎市医師会と川崎市教育委員会やこども未来局との協議により、溶連菌感染症を登園・登校停止としています。)

以前は急性糸球体腎炎を見つけるために治癒後2週間ほどで尿検査を行っていましたが、現在は以下の理由で尿検査は行っていません。
1.急性糸球体腎炎を発症すれば浮腫・血尿・高血圧などの症状がでてくるのでわかる。自覚症状の全くない腎炎もあるにはあるだろうが、きわめて稀で、仮に見つかったとしても経過観察以外にすることがない。つまり、見つけても無駄。
2.溶連菌感染と無関係で病的なものではない微小血尿や起立性蛋白尿が一定の確率で見つかる。検査さえしなかったら平和だったのに、余計な心配をさせることになる。
3.30年小児科医をしているが、溶連菌感染後に検尿をしてはじめてわかった糸球体腎炎の経験が一例もない。

また、以前は同居している親・兄弟はお互いに感染源になるのでできれば同時に薬を飲んで菌のキャッチボールを防ぐため抗菌薬の予防内服を勧めていましたが、これもやめました。
家族に予防内服をさせることで再発率が下がるというデータがないこと。
健康な子どもが不要な抗菌薬を頻回にのまなくてはいけなくなるリスクの問題。

*写真上:溶連菌特有ののどの赤さ **写真下:いちご舌


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