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かたおか小児科クリニック

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インフルエンザワクチンの有効性・ゼロ歳児の場合

2008/10/31

 当院ではインフルエンザワクチンは6ヶ月以上のお子さんに接種している。能書には何ヶ月以上という接種年齢の下限は示されていないのだが、アメリカでは6ヶ月からということになっているのでそれにならっている。他の多くの医療機関でもこのようにしているようだ。

6ヶ月から1歳までの赤ちゃんにインフルエンザワクチンは必要かという質問をよく受ける。

この答えが、なかなか難しい。

 

 厚生労働省の研究班の調査では1歳以下のインフルエンザワクチンの有効性についてはデータが少なく評価できないとされた。

1歳から6歳までの有効率が20-30%ということで、それより悪いと考えてよいだろう。抗体価は上昇するという報告もあるが、横浜のY先生たちが調べたデータでは抗体の上昇もあまりよくなかった。仮に抗体価があがったとしても実際に感染を防止するかどうかは別の話である。

アメリカでは乳幼児に対するインフルエンザワクチン接種は推奨されてこなかったのだが、2002年から6ヶ月-23ヶ月の乳幼児に対するインフルエンザワクチンが推奨されるようになった。これはワクチンの有効性を認めた上でのことである。

日本とアメリカではワクチンの組成にも違いがあり、接種量も日本は0.1mlとごく少量であるのに対してアメリカでは0.25mlと多い。接種法も日本は皮下注射であるが、アメリカでは筋肉注射。アメリカで有効とされたから日本でも有効とは言えない。

ワクチンの接種量を変更しようという意見もあるがなかなか前には進まない。現行のワクチンに限界があるのは確かなので接種量の変更などではなく、ワクチンそのものの改良が必要だという考えである。

 

ということで、現状ではゼロ歳児のインフルエンザワクチンに関しては積極的にお勧めはしないというスタンスを取っている。しかし、保育園など感染のリスクが高い集団にいる場合には、限界を承知した上で接種されることはかまわないと考えている。

ただし、この年齢ではDPTやポリオ、麻しん風しんなど他に接種しなくてはならないワクチンも多く、そちらを優先して受けるようにお勧めしている。


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