梶が谷駅から徒歩9分
かたおか小児科クリニック

0280-62-10110280-62-1011

WEBからのお問い合わせはこちら

Dr.かたおかの診療日誌Dr.かたおかの診療日誌

カテゴリーアーカイブ
過去6ヶ月のアーカイブ

似た名前の薬

2008/11/21

 徳島の病院で筋弛緩剤の「サクシン」と副腎皮質ホルモン剤の「サクシゾン」が間違えてオーダーされ、そのままチェックされずに投与されて患者さんが亡くなるという事故が起きた。

 当直医が入院患者の発熱に対処するのに副腎皮質ホルモン剤の「サクシゾン」を処方しようとして電子カルテに「サクシ」まで入力したところ、電子カルテの先読み機能で「サクシン」が表示された。当直医はそのまま最後まで薬品名を確認しないでリターンキーを押し、筋弛緩剤「サクシン」のオーダーが薬局に届く。薬局でも量が変だなとは感じたらしいのだがそのまま「サクシン」の点滴薬は調製された。届いた点滴バッグを看護師が患者の点滴ラインにつないで「サクシン」が患者さんに入ってしまった。

ミスがいくつも重なってしまったケースである。途中で何度か運命を変えるチャンスはあった。一番いけないのはオーダーミスをした当直医ではあるが、途中で関わった人たちが、どうしてこのオーダーが出てきたのかを少しでも考えることがあったらこのオーダーはおかしいと考えるはず。人にもシステムにも問題があったのではないか。

電子カルテやオーダリングシステムではときにこういう間違いが起きることがある。そのためにいろいろ工夫がある。最近では似たような名前の薬は並んで出てこないようにしてあるところが多い。この病院でも紛らわしいので「サクシゾン」は採用から外して別名の薬剤にしていたらしい。ところが当直医はそのことを知らず、「サクシ」まで入力して出てきた薬剤を選んでオーダーしてしまった。

当院で使っている電子カルテWINEStyleでは薬品の処方はあらかじめ決めた組み合わせの「約束処方」か薬効別に分類された薬品棚の中から選ぶことにしている。「薬効別」というところがミソ。新規に採用する薬品は薬品名をキーボードで入力して薬品棚に登録するが、この時に間違えていなければ似たような名前の薬を間違えることはない。

それでも複数の医師が使う病院の電子カルテは情報の共有がよほどうまくいっていないとこういう事故は起きてしまう可能性は残ってしまう。

私が一番名前が似ていて困るなと思うのは「カロナール」と「カコナール」。

「カロナール」は解熱剤で「カコナール」というのは葛根湯の成分を含んだ総合感冒薬。まあ、用途も似たようなものなので間違えても大きな害はないが、だからかまわないというわけではない。

時々「風邪気味だったので、この前先生のところで出していただいたカコナール飲ませました。」なんてことを言う人がいる。それを言うなら「カロナール」。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。


※表示されている文字を入力してください。

診療日誌TOPへ戻る