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熱性痙攣

2009/03/06

 NHK出版「すくすく子育て」の取材。

今月のお題は「熱性痙攣」。

子どもの10人に一人は5−6歳までに熱性痙攣をおこす。小児科の現場、特に小児救急では結構な割合を占める。小児の救急車利用のかなりの部分は熱性痙攣だろうと思われる。

親にしてみれば高熱が出ただけでも「まあ、大変」。そこに「痙攣」まで起きたら、パニックになるのもわかる。そこで、子どもが引きつけてもびっくりしないように予備知識を持って対処していただきたいという話をする。

 先日の外来での話。保育園の入園前健診で熱性痙攣の既往があると身上書に書いたら、「投薬依頼申請書」を書いて、主治医に抗けいれん薬の坐薬「ダイアップ」を処方してもらってくるようにと強く指示されたという。この子は1分間の痙攣が過去に一度あっただけ。主治医は単純性熱性痙攣と考えている。

こういう人にまで次の痙攣を予防するために体温が37.5度以上になったらダイアップ坐薬を入れろという指導をするドクターもいる。たまたまその園医さんがそう言う方針の人だったのだろうが、お母さんは困った。熱が出たからといって勝手に保育園で抗けいれん剤の坐薬なんか入れてもらいたくない。

そう言うと、ダイアップを使わないのならどのように対処するのか主治医に意見書を書いてもらってこいといって用紙を渡された。どうしましょう、と言うのである。

これはひどい話である。

そもそも「熱性痙攣を予防するために熱が出始めたらダイアップを入れる」ということは小児医療の世界的なコンセンサスとは言えない。痙攣が15分以上続いた、半日のうちに2回以上痙攣した、半年の間に3回以上熱性痙攣を起こした、痙攣に明らかな左右差があった、などの「複雑型熱性痙攣」であれば次回の痙攣を予防するためにダイアップを使うというのならまだわかるのだが。

熱性痙攣を起こしたことがあるというだけで「37.5℃以上はダイアップ」ではたまったものではない。熱性痙攣を起こした子どもの4分の3は痙攣の回数が2回以下。5−6歳になればほとんど起きなくなる。こういう子どもまでもが熱が出るたびにさあ大変とばかりにダイアップをお尻に入れるのはおかしいだろう。

ダイアップでふらふらになったり、変な興奮で手がつけられなかったりすることがときどきある。副作用の無い薬は無いのである。

ということで、この件は保育園に直接電話。

保育園の決まりでは、保護者が希望すれば坐薬はあずかるが、保育園側から強制することは無いはずである。


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