2009/03/18
ということで、その2
昔昔あるところに目が不自由でギターの弾き語りがとても上手な若いお坊さんがおりました。
このお坊さんは身体が弱くすぐに咳が出たり熱が出たり下痢をしたりでお寺の人たちはみなたいそう心配をしておりました。
やれ、養命酒を飲んでみたらどうだ、やれ、にんにく卵黄はどうだ。ヒアルロン酸は効くぞ。などといろいろ健康法を伝授してくれるのでした。
ある時、先輩の偉いお坊さんが「万病に効くお札」というものを手に入れて帰ってきました。
このお札を貼ると貼ったところの病はたちどころに治り、病でないところは病から免れるのだそうです。一寸角にも満たない四角いお札には「病魔退散・ヨクナリンテープ」と書いてありました。
「これを胸に貼ってみよう。どうじゃ。」
「はい、心なしか呼吸が楽になったような。」
「そうか、では背中にも貼ってみよう。」
「なにか、咳が楽になったような」
「では、おなかに貼ってみよう。」
「お通じがよくなったような」
「尻に貼ってみよう」「痔がよくなったような。」「鼻に貼ってみよう」「花粉症が治ったような」・・・・・
次から次へとお札を貼って終いには体中お札だらけになってしまいました。
先輩のお坊さんは
「どうだ、これで病気にはならんだろう。安心して休みなさい。」
といって、部屋を出て行きました。
翌日、先輩のお坊さんがやってきて耳を押さえて痛がっている小坊主さんを見つけました。
「これ芳一、どうしたのじゃ」
「耳が痛くて、耳だれが。」
「何としたこと。耳にお札を貼り忘れた。中耳炎じゃあ」(チャンチャン)
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