2009/05/17
先日学生の見学実習中に急に起立・歩行が困難になった子どもが来た。来院時には立ってふらつきながらも支えれば歩ける状態になっていた。回復していきそうだったので血液検査を行って翌日まで様子を見ることにした。
実を言えば、その場の症状からは診断ができなかった。
こういうときは得意手の「様子を見ましょう」である。
翌日再診したときはほとんど回復していたが歩くと片足を引きずっている。やはり何かあるだろうと大学病院の小児神経の専門医を紹介した。
学生には結果を知りたかったら後日連絡してきてと言ってあったのだが、きちんと連絡してきた。やはり気になったのだろう。その時はまだ大学病院からは返事がなかったのだが、昨日返書が届いていた。
大学病院で診察したときは歩行の異常もなくなってほぼ回復していたらしい。そこでこちらが送った初診時の所見や問診から「急性小脳失調」だったのではないかというご返事だった。
なるほど「失調」ね。学生さんには「麻痺」と説明したが、腱反射は正常で左右差もなく、筋力も正常。Babinski反射が陽性?。これは「麻痺」ではないわな。
それに、患者さんが帰っていくときの歩き方。なるほど、あれは協調運動の障害だったのだ。
20年ほど前にもこういう一過性の小脳失調を見たことがあったなあ、と遠い記憶を引きずり出した。神経学的診断というのは理詰めに考えていけばどこに病変があるのかわかる。そういう診断過程を説明してあげられなかったのは残念であった。
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