梶が谷駅から徒歩9分
かたおか小児科クリニック

0280-62-10110280-62-1011

WEBからのお問い合わせはこちら

Dr.かたおかの診療日誌Dr.かたおかの診療日誌

カテゴリーアーカイブ
過去6ヶ月のアーカイブ

乳児へのタミフルの使い方

2009/08/22

 昨シーズンまではタミフルの添付文書の記載を尊重してゼロ歳児へのタミフル投与はしてこなかった。このために重症化して困ったというケースはなく、今回の新型でも使わなくてもいけるかなという感触を持っている。

 当院でのインフルエンザに対する方針は、患者さんの持っているリスクや症状によってタミフルやリレンザを使うかどうかを決めるというところにある。インフルエンザと診断したらタミフルやリレンザを全例投与するというものではない。

症状からみて、明らかに抗ウイルス剤が不要という患者さんはかなりいる。この判断をしっかりとしたいと思う。薬を使うメリットとデメリットを考えるということである。

もしタミフルを使わなくて脳症にでもなったら心配というむきもあろうが、先般の川崎市での6歳児のケースではタミフルを内服していたにもかかわらず脳症を発症している。脳症は早めにタミフルを使っておけば防げるというものではないのだ。これは従来の季節性インフルエンザでも同じ結論である。

今朝の朝日新聞に、WHOが「新生児・乳児にもタミフル投与」ということで、持病のある人だけでなく新生児や乳児にもタミフルやリレンザを投与すべきだという指針を出したという記事が出ている。新生児・乳児にもタミフル投与は可というように理解するが、全例投与すべきかどうかはわからない。検査は陽性だったが明らかな軽症例というのはいくらでもいる。

一方、この記事の中で日本のインフルエンザ医療業界の旗頭となっているS先生は、WHOがリスクのある患者以外はタミフル・リレンザの投与は必要ないとした方針に「基本的には全員の治療が望ましい」と方針決定に関与していたにもかかわらず異論を述べておられる。

ここ何年かの日本のインフルエンザ診療がS先生をはじめとする方々の意見を背景に「世界中のタミフルの7割が日本で使われている」という状況を引き起こしてきたのは記憶に新しい。

インフルエンザなら全員タミフル・リレンザというのなら医者なんて要らないのである。診断キットとタミフル・リレンザの自動販売機があればよい。

こうしてタミフルを消費することは世界一であるのに、ワクチンの生産では世界に大きく遅れを取っている。

新型インフルエンザのワクチン製造競争はワクチン株が決まったときにヨーイドンで一斉スタートだったはず。あっという間に世界のワクチンメーカーに差をつけられて、国内需要予測量をはるかに下回る量しか生産できない。出荷時期もはるかに遅い。

輸入するという話も出ているが、本来は日本がワクチンの自国生産ができない国に輸出してしかるべき話だろう。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。


※表示されている文字を入力してください。

診療日誌TOPへ戻る