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かたおか小児科クリニック

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ワクチンの過誤接種

2010/05/26

 先日クリニックで接種予定と違ったワクチンを接種してしまうという接種事故を起こしてしまった。

事故の経緯を公開することにして、今後同じ事が起きないよう対策を立てたいと思う。

 1歳11ヶ月のお子さんがヒブワクチンの接種で予約来院。年齢からヒブワクチンの接種は1回のみ。

4週間前に他院で肺炎球菌ワクチンの1回目を接種していた。

受付でヒブワクチンの問診票をわたして記入していただき、母子手帳、問診票、指示棒を入れたフォルダを診察室の準備カウンターに運んだ。

(指示棒とは紙カルテ時代から使っていたカルテにはさむ棒状の段ボール氏。「肺炎球菌」「ヒブ」など予定が一目で分かるように挟んでいる。)

この時受付担当者が誤って「ヒブワクチン」の指示棒を挟むところを「肺炎球菌ワクチン」の指示棒を挟んでしまった。

フォルダを受け取った看護師は指示棒を見て「肺炎球菌ワクチン」の接種であると思いこみワクチンを準備した。この時、問診票の中身を確認しなかった。

(当院では問診票の混同を避けるため異なった色の紙に印刷しているが、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンの問診票はメーカーから供給されたものを使っているため同じ白地に黒の印刷である。)

問診票は接種医のところに回され、接種医は問診票を見て「ヒブワクチン」の説明をし、準備されたワクチンを「ヒブワクチン」と思い込んで接種した。バイアルの確認をしていなかった。

接種後看護師が母子手帳への記入の際に間違いに気づき、ご家族に間違いを説明した上で謝罪。

改めて「ヒブワクチン」を反対の腕に接種し直した。

「肺炎球菌ワクチン」は1歳10ヶ月時に1回目を接種しているので、規定によれば2回目の接種は1回目から60日後の2歳0ヶ月時。規定より約30日早い2回目の接種となったが、2歳を過ぎると1回接種という規定であることを考えるとワクチンの効果については今回の過誤接種の影響はないと考えられる。

 

 

受付での指示棒のミス、ワクチンの準備段階で問診票の不確認、接種医(私)のバイアルの不確認。

三重のミスが重なって今回の過誤接種事故が起きた。

「それぞれがちゃんと注意するように」ということになるわけだが、何故このようなミスが起きたかを考えないといけない。

1.指示棒と問診票の二通りの識別を用いていること。

紙カルテ時代の遺産の指示棒だが、問診票でワクチンの識別をすればよいのであって、指示棒は不要。今回も指示棒がなければこういう間違いは起きていないはず。

2.問診票が似通っている。

おたふくかぜ、水ぼうそうなどの問診票は色紙を使って院内で印刷しているのに、肺炎球菌、ヒブはメーカーが問診票をくれるので安易にそのまま使っていた。

別の色紙を使って問診票の識別が一目で分かるようにする。

3.接種医はきちんとバイアルを確認すること。

ヒブワクチンの附属の注射器は使いにくいというので今週から普通の1mlシリンジで接種する事にした。これまでのガラス製のずんぐりしたシリンジではなくなっているので、肺炎球菌の充填済みシリンジと持った感じが似ている。これが気づきにくかった一因にある。

ただし、バイアルを確認していれば、間違いに気づいたはず。

 

以上の3点が反省点。

今後の改善に向けた取り組みにしたい。

最後に、ご心配をおかけした患者様、ご家族に再度お詫び申し上げます。


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