2010/12/30
「予防接種は効くのか?」ワクチン嫌いを考える。岩田健太郎(光文社新書)
刺激的なタイトルである。この前の著書が「麻疹が流行する国で新型インフルエンザは防げるのか」。
これまた刺激的であった。
タイトルが刺激的であるだけなく内容も刺激的。
「ワクチン嫌い」というのがモリエールの「人間嫌い」から来ているところからして面白い。
私は中学3年の時に学園祭でモリエールの「いやいやながら医者にされ」という芝居で主人公のスガナレルの役をやった。その時はまさか後年に医者になるとは思いもよらなかった。まあ、いやいやながらと言うわけではなかったのだけれど、天職と思えるほどの必然はなかった。
そんなわけで、モリエールがらみで出だしから引き込まれた。
ワクチンに反対する人たちは結局「ワクチンが嫌い」なのだ。科学的な意匠をまとっているが「好き」「嫌い」の問題を「正しい」「間違っている」という問題にすり替えているだけだ。
「効く」「効かない」は科学的に立証されている。
インフルエンザワクチンの集団接種は効果がないとした有名な「前橋レポート」も今のレベルで検証すればとてもその結論が評価に耐えうるものではない。その後にも集団接種に効果があるとする多くのレポートが出ている。どちらがより厳密なスタディかは明らかである。
それで、最初のモリエールの引用
フィラント よくよく人間が憎らしいんだな。
アルセスト そうだ、憎くて憎くてたまらないんだ。
最後まで読むと意味がよくわかる。
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