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かたおか小児科クリニック

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ヒブ、肺炎球菌ワクチンの接種が見合わせに

2011/03/05

 ヒブ、肺炎球菌、DPTワクチンなどを接種した子どもがここ3日の間に4名死亡していたということを受けて厚労省はワクチンと死亡の因果関係を調査し結論が出るまでの間ヒブ、肺炎球菌ワクチンの接種を見合わせるよう通達を出した。

 この情報は昨夜遅く伝わってきていて、困ったことだと思いながら朝の診療を始めた。

幸い土曜日には予防接種はほとんどないので、接種延期の個別のお知らせは月曜日接種分だけにしてそれ以降は週明けに連絡することにした。

4月からヒブ、肺炎球菌ワクチンの公費助成が始まり接種率も大きく向上するだろうと考えていただけにこれは困った事態である。

亡くなった方の経過を見てみると、それぞれに状況が違う。心臓や呼吸器に持病があった子どもが2人。

ワクチン接種がストレスとして働いて持病が悪化した可能性はあるが、ワクチンそのものの副作用とは考えにくい。ただ持病がどの程度のものだったのかが詳しくわからないので調査の結果待ちということになる。

接種後発熱して翌日死亡のケースはインフルエンザ脳症など何らかの感染症による脳炎・脳症や激症型心筋炎の可能性がないかどうかが問題。これも調査待ち。

3日後に死亡というのは乳児突然死症候群(SIDS)と診断されていたようだが、やはりその可能性が高いのではないだろうか。

ただ、いずれのケースもワクチンと死亡との因果関係をクリアーに肯定したり否定したりするのは困難。はっきりした結論は出ないだろうと思っている。

そうなると、この事態を「どう考えるか」と言うことになる。

ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンはそれぞれ世界中で20年、10年の使用実績がある。何億という人が接種してきている。ワクチン接種後に死亡というケースは多数あるが死亡の原因がワクチンであるとされたケースはない。

わが国で何故この時期に4例の死亡が重なったのかはよくわからない。

ただ、状況がそれぞれのケーズすべてで違っており、「紛れ込み事故」である可能性が高いと考えられる。

「一時的見合わせ」が長引けば、ヒブ、肺炎球菌を接種できなかったために細菌性髄膜炎にかかってしまったという子どもが必ず出てくる。

せっかく世界の標準に追いつきかけた日本のワクチン接種。ここでつまずきたくはないと切に思っている。


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