2011/06/13
最近患者さんが持ってくるお薬手帳を見ると経口ペネム系抗菌薬が処方されているのを散見する。
製薬会社のMRさんの攻勢がはげしい。
耐性菌が増えているのでと言うことで、この薬は耐性菌にもこんなに効きますよとMICのグラフを見せてくれる。
感染症の歴史は細菌と人間が作る抗菌薬との戦い。初めてペニシンリンが発見されたとき、それはほとんどの細菌に効いた。しかしその天下もペニシリン耐性菌が出現して、合成ペニシリンが出てそれに取って代わり、セフェム系が次の天下となって、セフェム耐性菌が増えてくると今度は経口ペネム・・・
起炎菌の薬剤感受性を調べてペネムしか効かないというのならそれはそれで仕方ないが、咳鼻水が出て熱が38℃、それでいきなり経口ペネムっていうのはいったい何を考えているのだろうと思う。
中耳炎の起炎菌として多い肺炎球菌やインフルエンザ桿菌のペニシリン耐性菌(PRSP)が増えていると言うけど、抵抗性があるのは古典的なペニシリンGに対してであって、合成ペニシリンのAMPCは充分に効くのだ。
経口ペネムは他に効く薬がないときのために取っておいたらどうかな。
コメントを残す