2011/06/25
発見が遅れると赤ちゃんの知能が後れたり、命に関わるような病気ある。これらの早期発見を目的に新生児マス・スクリーニングが行われている。生後4-7日に濾紙法によって採血する。
現在ほぼ100%の実施率。対象となる疾患は1.フェニールケトン尿症 2.ホモシスチン尿症 2.メープルシロップ尿症 4.ガラクトース血漿 5.先天性甲状腺機能低下症 6.先天性副腎過形成。
このシステムは有効に働いており、医療者にとってはすでに「空気のようなもの」となっている。
今度タンデムマス法という新しい方法で30種類近くの先天性代謝異常を診断できる方法が導入されることになった。
「タンデムマス」とは「二つ繋がった質量分析器」の意味で、液体クロマトグラフィー(liquid chromatography ;LC)に質量分析計(mass spectorometry ;MS)が二つ繋がった装置のことだそうだ。
検体は従来の濾紙法で採った血液を流用するので赤ちゃんに新しい負担は生じない。
現在は分析可能な30項目のうち22項目を測定するパイロットスタディが進行しているらしい。
今年の10月から横浜市、川崎市、相模原市の県内政令指定都市で本格的な実施に入る。
そのための検討会ということだが、初めて参加したのにすでにほとんどのことは決まっている。
そもそも導入は必要なのかというあたりの議論はどうなったのだろう。
今回の問題点は22疾患をさらに絞って一次対象疾患(16疾患)にするということを厚労省の方で決めてきたという点。
16疾患ですんなりいくかと思ったら、委員の中でどうしてこの項目が外れたのか解せない。神奈川県では17項目にできないか、などという意見が出る。
マス・スクリーニングを行うための条件として、
1.診断が確実にできること(擬陽性、偽陰性が少ない)
2.有効な治療法があること
があげられる。
それに費用対効果の問題として疾患頻度がある程度以上多いこと。
それらの条件に合わないので一次対象疾患にならなかったのだろう。
たくさんの疾患をスクリーニングしてもかかる費用は変わらないからといって、再検査が多いのでは親御さんの不安をあおるだけ。
これはあくまでも赤ちゃんの健康を考えて行うスクリーニングなのである。
学問的興味は押さえておいていただきたいと思う。
コメントを残す