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不活化ポリオワクチンの「リスク」

2011/07/31

 不活化ポリオワクチンの接種数は増えてきていて7月は194接種。

中にはいろんな方がおられて、接種前の説明にえらく時間を取られてしまうこともある。

 DPT三種混合とBCGが終了している赤ちゃんが不活化ポリオの予約で受診。

ヒブ、肺炎球菌ワクチンがまだだったので、まずこちらから受けた方がよいですよとお話しする。よろしければ不活化ポリオとの同時接種がお勧めです。

保護者は、ヒブ、肺炎球菌は死亡事故があったから受けさせない。同時接種だけでなく単独接種もしないつもりとのこと。

じゃ、どうして不活化ポリオは接種するのか。

ヒブ、肺炎球菌ワクチンのリスクを受け入れられない方が不活化ポリオワクチンは受けたいというのはおかしな事ではないですか。

不活化ポリオワクチンの安全性は認可されているヒブ、肺炎球菌ワクチンなどと変わらないと説明しているが、それはリスクもヒブ、肺炎球菌と変わらないということ。

ヒブ菌や肺炎球菌による細菌性髄膜はワクチンなしだと年間800人くらいがかかる。

一方ポリオはここ30年以上国内で野生株による発症はない。

どう考えても、ヒブ、肺炎球菌ワクチンは接種しないで不活化ポリオワクチンだけは接種するという判断はおかしいですよという話をする。

保護者の話では伯父に当たる方が何十年か前にポリオにかかった。ポリオワクチンだけは絶対に受けなさいと言う親の言いつけなのだそうだ。

身近にポリオを経験した世代では、ポリオが恐怖の的であったことはよくわかる。

私たちの世代ではクラスに1人くらい麻痺のある子がいた。

しかし、もう時代が違うのである。

 

結局、不活化ポリオワクチンは接種した。

しないよりした方がいいに決まっているから。

接種前に、もう一度説明を繰り返した。

不活化ポリオワクチン接種後の死亡事例は接種数が少ないからあがってこないだけで、ヒブ、肺炎球菌ワクチンと同じくらい接種されれば「紛れ込み」事例も当然出てくる。

万一、(心配されている)接種後に死亡というようなことが起きても未承認の不活化ポリオワクチンでは国や医療機器医薬品総合機構の補償を受けることはできない。

不活化ポリオワクチンにはヒブ、肺炎球菌ワクチンと同じ程度のリスクがあると言うことを確認して頂いた。

それから、ヒブ、肺炎球菌ワクチンは絶対受けた方がいいですよ、とも。

 

とても疲れた。

接種希望者には粛々と接種する。

これが一番だな。


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