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かたおか小児科クリニック

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外来で小児によく使う薬の使い方Q&A(総合医学社)

2012/01/24

 と言うタイトルのムックが完成。タイトルからするとハウツー物のあんちょこ本かと思われそうだが、そうではない。立派な小児科の教科書である。

 編集の依頼を受けたのが2010年の暮れだったから、1年ちょっとで完成したことになる。東大の五十嵐教授から、本の章立てと執筆者の選定を依頼された。

薬を使わないというのもアリなんだよね、と念を押して、好きなようにしていいからと言うことで企画編集を引き受けた。

執筆依頼は日頃外来小児科学会でお付き合いのある方を中心にお願いした。私自身の不得意分野で誰に執筆を頼めばいいのか見当がつかない所もあったが、そこは長年培ってきた人脈がものを言う。アドバイスをしてくれる人も多くて助かった。

完成版が著者宛に送られてきてもうすぐ書店に並ぶことになる。今のところ評判は上々である。

巻頭言を書いているので、転載する。

 

 

自分が小児科で開業したときに痛感したのは外来診療のトレーニングを若いときに全く受けていなかったことでした。研修医の頃にいきなり外来に出されて、処方はカルテにある先輩の処方例やアルバイト先の病院の約束処方の受け売りでした。わからないことは医局の雑談で耳学問。

 お薬手帳の普及で他院での処方内容がよくわかるようになっています。それを見ると、現在でも若手医師や小児を診る他科の医師にとって状況は以前と余り変わらないのではないかと思います。

 本書では、外来で小児によく使用される薬剤について使い方の基本、こつ、注意点などを研修医や若手小児科医、そして小児を診療する他科の医師にわかりやすく伝えることを意図しています。

 但し、小児に古くから使われている薬の中には有効性についてのエビデンスが低い薬も少なくありません。これらの薬は今から有効性についてのエビデンスを作り上げることが簡単ではない薬もあります。従って、このような状況についてもベテラン医師の経験や意見と共に率直に若手医師に伝えて頂くよう執筆者にお願いしました。

 治療ガイドラインがある場合には、エビデンスに基づいた薬の使い方をベースに自分が獲得した経験を加味して書いて頂きました。但し、治療ガイドラインについては客観性がどこまで担保されて作られたのかについての注意が必要です。ガイドラインは一度は目を通しておくのがよいと思います。

 実際の臨床現場では「薬の使い方」だけではなく「薬を使わない方法」も同じくらい重要です。薬の一般的な使い方に対する評価・批判をもとに「このような使われ方をしているが、使わない方がよい。」という事もぜひ本書で伝えたいと思います。

 小児科の外来は薬の配付所ではありません。医師の役割は処方箋を発行することではなく、きちんとした診察と説明です。

 必要な薬を最小限に使い、患者さんに害をあたえない。

 

このことを実践できるような指針を本書で示せれば編者として幸いに思います。


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