2012/07/14
ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンが使えるようになり、助成によって接種率があがってきた。そのおかげか、ここ1年半、当クリニックでは菌血症や細菌性髄膜炎の患者さんはいなかった。
6月に久しぶりの肺炎球菌による菌血症症例があった。すでに肺炎球菌ワクチンは3回接種済みだった。
菌血症で見つかった細菌は大阪の衛生研究所に送って詳しい分析をしていただくことになっている。その結果が昨日届いた。
見つかった肺炎球菌の血清型は15A。
肺炎球菌には50以上の血清型があり、今使われている7価肺炎球菌ワクチンには7つの血清型(4,9V,14,19F,23F, 18C,6B)が含まれている。ちなみに世界で使われている13価肺炎球菌ワクチンには4,9V,14,19F,23F,18C,6B,1,5,7F,3,6A,19Aという血清型が含まれる。
15Aはどちらにも含まれない。
つまり、今回の菌血症はワクチンでは防ぎきれないケースと言うことになる。実はこの15Aは2年前にも当院のケースで見つかっている。
ワクチンに含まれない型は2-3割ある。この地域には15Aが多いのかも知れない。
今回のケースは血液の培養検査をした後すぐに適切な抗菌薬を使ったので翌日には解熱してケロッと直っている。菌血症かも知れないと思って菌血症の対応をし、それが菌血症だったらすんなりよくなる。
要は、疑うという事である。
ワクチンをしているので菌血症や細菌性髄膜炎はあり得ないと油断してはいけない。
ワクチンの効果は絶大だが、限界もまたある。
そのへんをよく考えて対応して行かなくてはね。
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