2012/07/22
ヒブワクチンの追加接種の時期で一部自治体では問題が起きている。
ヒブワクチンはDPTワクチンとの同時接種を前提に治験のデザインが作られたため、接種スケジュールがDPTの標準的なスケジュールあわせるようになっている。
DPTの標準的な接種スケジュールでは追加接種の時期は初回接種終了後1年から1年6ヶ月となっている。
ヒブワクチンもこれにならって初回接種終了後おおむね1年後に追加接種ということになった。
ところがヒブワクチンの接種後の抗体価を見ると、接種して1年経つとおよそ10%の人の抗体価が感染防御レベルを下回ってしまうということがわかった。
せっかくゼロ歳の時にヒブワクチンをちゃんと接種していても、追加接種の時期が遅れるとヒブ感染症にかかってしまう人が出るおそれがあるという事だ。
肺炎球菌ワクチンの追加接種の時期は初回接種終了から60日以上あけて1歳から1歳3ヶ月の間に接種となっている。海外ではヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンは同時接種するのが常識だからヒブワクチンの追加接種もこの時期に行われている。
小児科学会やVPDを知って子どもを守ろうの会でもこの問題を重視してヒブワクチンの追加接種の時期は1歳過ぎたらなるべく早くというスケジュールに変わった。
ところがこれで問題が起きた。
一部の自治体では、ワクチン接種事業の実施要項に追加接種は「おおむね1年後」となっているので、この時期を外れると接種した医療機関に接種料を支払わないということになった。
「おおむね1年」というのは具体的にはどうなのだというと「11ヶ月から13ヶ月の間」だそうだ。
追加接種の間隔をチェックするのも結構大変な作業だと思うし、医学的にはもう少し短い方がよいと言うことなのだから、あえてそういうことにエネルギーを注いでトラブルになる道を選ぶというのはどうだろう。
幸い川崎市ではそのような杓子定規なことは言わないことになっている。現時点ではヒブワクチンの追加接種の時期をチェックしていない。
でも、1年経たなくても追加接種してよいという文書を出せと言われたら行政も困るだろう。
このあたりは「ご賢察の上」ということでお願いしたい。
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