2013/01/03
もう正月も三日を過ぎようとして、ちょっと出遅れ感は否めないが、新年のご挨拶をば。
小児科の友人たちの年賀状やSNSへの書き込みを見て共通の話題がある。
一つは予防接種が増えて仕事のメインがワクチンに移行してきたこと。
もう一つは一般の診療、つまりこれまで相手にしてきた子どもの病気が減ってきたこと。
これで予防接種と一般診療の比率が大きく逆転したのだ。
今年産まれる赤ちゃんの予測数は103万人。一方、減ったと言われる18歳人口はそれでも今年で122万人。18年間でこれだけ減った。これからも減るだろう。
一方、一時心配された小児科医の数は増加に転じている。
小児科医不足が問題じゃないのかという疑問もあろうかと思うが、数から言えば不足ではない。少なくとも大都市近辺では。
月に5回も6回も当直して、そうでないときもNICUや病棟、救急外来でサービス残業をして、いわば小児医療の雑巾がけをしてきた若手・中堅小児科勤務医が足りないと言うことである。
と言うか、そういう勤務体制が許されなくなってきたと言うことだろう。
勤務医の過酷さに将来を心配して開業するというパターンはこれまでも多かった。私などもその一人だ。
ここ10数年のパターンとしては最初から開業を見越して研修先を選ぶ若手が増えているように思う。昔もいたのかも知れないが私の周辺では見かけなかった。
修羅場を避ける。賢明な選択だと思う。
書いた死亡診断書の枚数が医者としての経験値だという時代もあったが今はたぶん違う。
屍を乗り越えて業績を上げるなどと言うのは一昔も二昔も前のスタイルだ。
ただ、誰かが雑巾がけをしなくてはならない。
それを誰がするのかだ。
もう一度、勤務医時代の当直業務をやるかと言われたら、やはりそれは無理。
自分は安全圏に逃げ込んで、後から来るやつに、ああせい、こうせいはなかなか受け入れてもらえないだろう。
ただ、それでも、できるところでは汗をかかねばならないと、新年早々柄にもなく思っている。
楽隠居と言う言葉が遠ざかっていく。
コメントを残す