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かたおか小児科クリニック

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腸管出血性大腸菌感染症

2013/07/27

このところ細菌性腸炎かなと思うケースが時々ある。

 ウイルス性胃腸炎では嘔吐下痢がメインで大体症状を見れば見当がつく。

細菌性腸炎では下痢の割に腹痛が強かったり、血便が出たり、高熱だったりとちょっと様子が違う。

そういうときは必ず便の細菌検査を行う。

これまではカンピロバクターが陽性に出ることが多かったのだが、今日のケースは病原性大腸菌O157でベロ毒素陽性。検査会社から電話と緊急のファックスで連絡が来た。

問題の患者さんは午前中に再診していて、症状はすっかりよくなっていた。緊急ファックスも来てないので抗菌薬は全部飲みきって終わりにしていいよ、とお話しして帰ってもらった。その数時間後のファックスだった。

O157といってもみなが重篤な腸管出血性大腸炎や溶血性尿毒症性症候群になるわけではない。このケースのように普通に抗菌薬で治ってしまう事も多い。

問題はどこから感染したか、発病前後の接触歴はどうかということにある。同じ菌に感染して重症になる人がいるかも知れない。

腸管出血性大腸菌感染症はコレラや赤痢などとならんで感染症法の第3類疾病に指定されていて、診断したら直ちに保健所に届け出ることになっている。

保健所の方では土日も緊急連絡先があって対応する体制になっている。

感染症の手引きという冊子が各医療機関に配られていて、その中に緊急の場合の連絡先や届け出用紙が入っているのは知っている。問題はその冊子がどこにあるかだ。書類の山に埋もれて見つからない。

保健所の代表電話にかけてみるが留守電のアナウンスだけ。市のホームページを見てみると「サンキューコールかわさき」というのが案内されている。そこにかけてみると緊急連絡先になっている区役所の守衛室の番号を教えてくれた。守衛室から担当者へ連絡が行き、折り返し医療機関に連絡が来るという仕組みになっている。

届け出用紙は厚労省のホームページからダウンロードしてファックスで送った。

後は保健所の方にすべてお任せということになる。

このケース、便の細菌検査をしておいて本当によかった。

胃腸炎には全例抗菌薬というのは思考停止で論外だが、胃腸炎はウイルス性だからとみな制吐剤の坐薬と整腸剤というのもまた思考停止である。


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