2013/08/08
便に血が混じっているということでおいでになる方がよくある。
おむつをそのまま持ってこられる方もあるし、デジカメで便を撮影して来られる方もいる。
どちらかはないと診断はむつかしい。
便の検査が必要なときは綿棒で便を採取するので必ずしも現物は必要ではない。
「血便」にもいろいろある。
まず、血ではないもの。
トマトやスイカがそのまま出ているというケースもある。
セフゾンという抗菌薬を内服するとレンガ色の便が出ることがある。これを血便と見誤ることが時々ある。
尿中の尿酸やシュウ酸が結晶となってオレンジ色のシミがおむつにできることもある。
本物の血が混じっている場合でも量によって問題が違う。
便の中に少量の血液が粘液と混じって赤い糸状に見えるもの。
何度かつづいて出ることがある。
赤ちゃんは元気で哺乳力もふだんと変わらない。
こういう時は大腸のリンパ濾胞増殖症であることが多い。
しばらくすると血便はおさまるので、特に治療は要らない。
問題は、イチゴジャムやトマトケチャップのような便が出たとき。
嘔吐や不機嫌、周期的に泣いたりぐったりしたりする症状があると腸重積が疑わしい。
こういう時は夜中でも救急に行くべき。
最近多いのは細菌性腸炎。
病原性大腸菌やカンピロバクター、サルモネラなどの細菌が原因の腸炎で一般的には抗菌薬による治療が有効。便の培養検査で診断される。
ここのところ立て続けに病原性大腸菌が検出されていて、うち1人はベロ毒素産生のO157だった。
お尻が切れて便に血がついていることがある。
これはお硬い便の表面に血がついていてお尻を拭くと紙に鮮血が着いてくるのでわかる。
その他、牛乳アレルギーが長引く下痢と血便という形であらわれたり、メッケルの憩室という先天的な腸の異常部位から出血したりとか、珍しいケースもある。
ビタミンK不足による1ー2か月の赤ちゃんの腸管出血というのもある。
とにかく、血便は見てみないとわからないので、血便のついたおむつか、それを撮影したものかどちらかをもってきていただければありがたい。
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