2013/11/05
今日の火曜日で東大医学部のM4(6年生)の小児科外来実習が終わった。
今季限りで東京大学医学部小児科の非常勤講師を辞することにしたので、本当にこれが最後。
2003年5月からスタートしたので、ちょうど11年間医学部の学生の実習をお手伝いしたことになる。
最初は、同期入局の五十嵐隆君が小児科の教授になって、学生実習のプログラムに開業医での実習を是非取り入れたいので協力してくれないかという話から始まった。
人を教えることは最高の勉強だというのは引き受けてわかった。
これから卒業して医者になる学生にいい加減な診療を見せて、これが小児科開業医のレベルですなんて言うわけにはいかない。
熱があったら抗生剤とか、しつこい咳にも抗生剤とか、何はなくても抗生剤とか・・
そんな診療を学生がみて、開業医ではこういう風にやるんだなんてことになったら、日本の医学教育が崩壊してしまうぞ、というような気持ちだった。
この学生実習の第1回の事を旧ブログに書いていた。
2003年の5月だった。
27日 医学生の見学実習
学生の見学実習の第一回だった。医学部4年生というのはまだ国家試験を受ける前で、医師の資格はない。だから医療行為はできない。研修医のまだ手前だ。だから、後ろに立たせて診療を見せるだけである。それでも、君はそのへんで勝手に立ってなさい、では愛想がないので、ちょっと見てごらんとか、ちょっと触らせてもらいなさいとか、それくらいのサービスはしないといけない。今日来た学生はきちんと勉強もしているようだし、好奇心も旺盛。なかなかよろしい、、なんて、偉そうに言うなってか。水ぼうそうは5人も見たし、おたふくかぜも見たし、手足口病も見たし、今日一日で東大病院に一月張り付いているよりたくさんの「普通の病気」を見たのではないかと思う。
学生に説明している時間はやはり馬鹿にならなくて、診療は遅れ遅れになってしまう。このあたりは、少し工夫が必要だろう。
で、今日の学生さん、妻夫木くんみたいだったかって?さあ、どうだろ。どうやら本人もこのページを読んできたみたいなのだ。
なんで、妻夫木聡の話が出て来るのか前後の脈絡がないのだが、結構気合いを入れて臨んでいたことがわかる。
あれから11年。
学生実習を持ちかけてきた五十嵐先生は東大教授を定年前に辞めて成育医療センターの総長になった。
私も60歳を越えて、非常勤講師の定年を越えていた。
学外実習の講師には定年はないとはいうものの、教育スタッフミーティングに行くと教授以下全員私より年下の年齢構成になっている。
まあ、そろそろ潮時かという思いでこの夏に現教授の岡先生に辞任を申し出た。
学生と一緒に昼ご飯に「海老民」や中華の「福」やとんかつ「華家」などに行くのは楽しかったけど、どこかで終わりにした方がよい時がくる。必ずくる。
もうちょっとやれるかな、というところでやめるのがいいのかなと思うのである。
今日の最後の学生さんは女子学生で、野球の強豪高校の出身だとか。
田中マー君が甲子園で活躍した時に彼女の学校も出場して甲子園で応援したという。マー君と同じ学年ということだ。
なんか、羨ましいキャリアだなと思った。
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