2015/07/04
おたふくかぜにかかると発熱や耳下腺など唾液腺の腫れだけでなく、精巣炎、卵巣炎、膵炎、無菌性髄膜炎等を合併することがあります。
おたふくかぜによる難聴は発症1000人に1人の割で起きる事もわかっています。
無菌性髄膜炎は発熱、頭痛、嘔吐などが主な症状ですが、ほとんどの場合自然に治癒して後遺症も残しません。
現在接種しているおたふくかぜワクチンは生ワクチンで、まれに無菌性髄膜炎を起こすことが知られています。
当クリニックも協力した10年近く前の調査では2000回の接種で1回無菌性髄膜炎が起きるという結果が出たのですが、私たち接種医師の実感としてはとてもそんなに多くはありません。
これは調査当時の接種年齢が3歳以上がほとんどだったことと関係していると思われます。おたふくかぜは年長になるほど重症化しやすく無菌性髄膜炎も起こしやすいのです。
現在ではおたふくワクチンを初回接種するのは1歳児がほとんどです。
当院ではここ10年を平均すると年間400回程度のおたふくワクチンを接種しています。
2000接種に1回無菌性髄膜炎が起きるとすると、ここ10年間に2例起きている計算になりますが、実際には1例もありません。
現在のおたふくかぜワクチンは無菌性髄膜炎の頻度が高いと言うことが定期接種化への障壁の一つになっています。
そこで、院長も理事をしている「VPDを知って、子どもを守ろうの会」ではおたふくかぜワクチン接種後の無菌性髄膜炎の発生頻度の調査を行うことにしました。
おたふくワクチンを接種した子どもさんの保護者に協力いただくのは次の事項です。
・お子さんの生年月日、接種年月日、イニシャル、接種日、カルテID、ワクチンのロット番号などの診療情報を調査に使わせていただくこと。
・お子さんがワクチン接種後4週間以内に入院したり、髄膜炎を発症していないかどうか電話などで確認させていただくこと。
・入院したり、髄膜炎を発症していた場合には、入院した病院あるいは髄膜炎と診断した医療機関にその時の症状についてお尋ねすることに同意していただくこと。
受付で説明書と同意書をお渡ししていますので、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
コメントを残す